遊べるウォーキング メタボ
メーカー営業です。
「その仕事の大事なポイントは、どの辺りですか?」「ガソリンスタンドの経営者の方との人間関係とか、経営指導とか……」「なるほど、経営指導ですか、どんな経営指導をされるんですか?」「まあ、そういうケースもあるでしょうね。
しかしあなたのケースは業界の方々の情報を聞いてきました」「私は優秀じゃないからそんな声がかかるはずがありません」「なるほど、優秀な人ほどそうおっしゃるのです。
ところで仕事はお忙しいでしょう?」「あまり忙しくないですよ。
ところで僕の名前をどうやって知ったのか、ぜひ聞きたい」「あなたは優秀だからいろいろな会社から転職のお誘いは多いでしょう?」「いや、ないです。
ところで誰から僕の名前を聞いたのですか?」「そうですよね。
それは聞きたいところですよね。
「感じのいい人はいらっしゃいますか?」と尋ねていった結果なのですよ」「なるほどね。
でも信じられないなあ。
大学の卒業名簿で調べたりして電話してきたのでしょう。
」私は、このこだわりの強さにあきれて黙ってしまった。
この候補者にとっては、自分の情報が誰からもたらされたのかを知ることが何より重要で、残念ながら最後まで互いに共感できないケースであった。
オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョンコーチングはコーチが質問をし、相手が答えることで問題の解決に導く。
その質問には、「オープン・クエスチョン」と「クローズド・クエスチョン」という2種類がある。
オープン・クエスチョンとは、「なぜ当社を志望しましたか」というように相手が考えて答えなければならないものだ。
クローズド・クエスチョンとは、「はい」、「いいえ」というような二者択一で答える種類のもので、「赤い色は好きですか、嫌いですか」というようなものである。
コーチングではこの二つの形式の質問のうち、オープン・クエスチョンで行うべき行動を明確化して、最後はクローズド・クエスチョンを相手の意思決定のために使うことが多い。
クローズド・クエスチョンは、面接でも有効だ。
本社での第2次面接が終わると、候補者自身がターゲットセレクション(最終選考のためのインタビュー)を受けるかどうかを決めるのだが、このときクローズド・クエスチョンをよく活用した。
クローズド・クエスチョンは相手のコミットメント・本気度合いを探るには最適である。
実際の場面のクローズド・クエスチョンはこのように使う。
「いつ頃、お返事をいただけますか?」「1カ月ぐらいでは?」「1カ月は長いですね。
本当に一生懸命考えたらそんなにかかるもんでしょうか。
どうでしょう、1週間でお返事をいただけませんか?」「それで結構です」「1週間として、いつ、何時ごろ電話をいただけますか?」「○月○日の夕方6時までに」「わかりました。
とことん考えてくださいね」「これで面談まですべて終了です。
わが社の入社試験がありますが、試験を受けられますか。
」「受けます」「それでは、試験の際は全力を上げて私どもを説得してください」こうして試験のスケジュールを手短に説明し、候補者との話し合いを終了させるのである。
また、ここで今までのフレンドリーな態度から厳しい態度(試験をする立場)に意図的に変貌する必要もある。
候補者が「考えさせてくれ」というような状況もあった。
ここで別れる。
その後、スムーズに採用のステップを進むケースもあったが、後日、電話で断りが入ることもあった。
「いろいろ考えたのですが、やはり無理だと思うのでやめたいと思います」「わかりました。
あなたにとって正しい決断をされたんでしょうね」ここで引き止めることはしない。
生命保険の販売は躊躇(ちゅうちょ)していてはできない仕事だ。
このクローズド・クエスチョンの要点は、最終決断で躊躇する人を見極めることにあるからだ。
このようにして、2000年に広島の支社長候補者一人と東京地区の営業所長候補者3人を採用した。
支社長候補者は、同業他社で支社長経験者であり、能弁で勉強家でありとても優秀だと思った。
プロモータータイプであり、はきはきと話すタイプだった。
営業所長候補のうちの一人は、自動車のトップセールスであり将来性を感じた。
後の二人は堅実でまじめであるところを評価した。
先にも述べたように、破綻間近な生命保険会社としてマスコミがリストアップしていた、S生命に入社してきた4人の心意気には敬意を払うに値するものがあった。
2001年は、営業所長など営業管理職候補の順次の採用及び、6カ月間の幹部研修を始めた年だ。
この幹部研修は、後々、支社開発室におけるすべての研修のひな形になるため、コーチングを徹底的に取り入れるように知恵を絞った。
幹部研修といっても、その柱になるのは営業員としての研修だ。
これまでのS生命の営業員の研修は、セールストークマニュアルを丸暗記させて、そのまま現場へ送り出すという方式だった。
その後のフォローはOJTといえば聞こえはいいが、指導する立場の営業管理職もセールストーク丸暗記方式の研修を受けているだけなので、結局、部下のしかるべき指導ができないというのが現実だった。
このようなことでは、採用した営業員は、独自の方法をあみださなければ、そのままつぶれていってしまうことになる。
実際に素質があっても手法がわからないため退職していった営業員を、私は数多く見てきた。
そのような過ちを繰り返さないために、支社開発室で採用した広島支社長候補のN、所長候補のU、Y、Sの4人への営業研修はマニュアルを丸暗記させるのではなく、使命感や保険という素晴らしい商品を販売しているという意識を、第一に植え付けることから始めることにした。
保険の営業は、顧客にきちんと保険の話を聞いてもらい、契約を獲得、その間に次の顧客の紹介も獲得する、という無限連鎖で顧客を開拓して、長期的に保険ビジネスを続けていく。
このために必要なことを、考えさせ、深く理解させるプロセスにコーチングを最大限に取り込んだ。
その基本を最初の1カ月でマスターするのだ。
こうした販売のスキルを頭で覚え、身体にしみこませなくてはならない。
それに最適なのがロールプレイングだ。
なぜ、ロールプレイングかというと、セールスプロセスの各ステップを暗記するだけでなく、それを自分のものとして顧客を説得しなければならないからだ。
役者が舞台に立つ前に、セリフを暗記し、それを自分の役柄に合わせて演じるために、けいこをするのと同じだ。
セリフを暗記したら、あとはロールプレイングを実施して、本当に売ることができるかどうか自己評価させるのだ。
この自己評価のときにコーチングを取り入れることで、ロールプレイングの手法がさらに活きてくる。
生命保険営業の中で「ファーストアプローチ」というプロセスがある。
このプロセスを第1期生で一番若いSが営業、顧客はUでロールプレイングを実施した。
ロールプレイングはすべてビデオカメラで撮影し、終了後それを見直すことで自己評価をさせる。
Sは覚えも速く、非常にうまいロールプレイングを行った。
S自身は、できが良かったとは思っていないようだったが、私は終了後に「ご苦労様。
良かったじゃないか。
録画を見てみよう」とコーチングを始めた。
私の質問は、Sの役割であった営業員の商談がどのようであったかから始めることにした。
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